【河内長野市】入りやすいし便利!河内長野駅構内に誕生したモックルステーションは在住経験のある設計者

8月になりましたが、引き続き暑すぎですね。さて、8月1日、河内長野駅構内に2番目の観光案内所がオープンしました。

(今年の3月までの河内長野市観光案内所)

私が知っているのはここ4・5年の間の話になりますが、河内長野市観光案内所は駅前のノバティながの南館のいちばん端、高野街道の入口に1か所ありました。

(5月撮影・観光案内所とだけ記載)

そして今年の4月から観光案内所がより駅に近い現在の場所、三菱UFJ銀行の隣に移転しました。それだけなら観光案内所が駅前で移転したというだけで終わる話でした。ところが、観光案内所がもう一拠点出来るという話をこの時に伺いました。

(4月撮影)

2拠点目が出来る場所は駅構内ということでした。駅の改札を出てまだ外に出る前に観光案内所があると、確かに観光目的に来た人にとっては便利が良いですね。4月の時点では具体的な場所はまだ非公開という段階でした。

(7月上旬撮影 斜めに撮影したのでシャッターが細く見えます)

2拠点目の観光案内所が8月にできるだけでなく、ふたつの拠点の愛称の公募を行っていました。7月になり、そろそろ構内でどのあたりになるかわかるかなと思っていると、駅構内の切符売り場の隣がシャッターを閉じていました。

(7月上旬撮影)

このような状況だったので、こちらに新しい観光案内所ができると予想できました。

(7月上旬撮影)

シャッターの隣に広報かわちながのを取り出せるポケットがあり、改札、切符売り場の隣ですから、とても便利が良いところに観光案内所ができるんですね。

(播州赤穂駅構内にある観光案内所)

旅に出ていろんな駅を見ると、大きな駅は2階部分に改札があるパターンが多く、そういう駅の場合はたいてい改札と同じ2階部分に観光案内所があります。なので、河内長野も駅の2階に観光案内所ができることで本当に利用しやすくなると感じました。

(7月中旬に撮影)

そして、7月中旬になるとちょうど工事が始まっていたようでした。既に棚が搬入されています。木材を使っているところを見ると、河内長野産のおおさか河内材と考えられます。そしてこの頃、オープンに先立って次のような愛称が決まりました。

完成直後のモックルステーションで設計担当者からお話を

直前までシャッターが閉じていましたが、8月1日の午前中に行くとモックルステーション(観光案内所)がオープンしていました。自動ドアもなく、そのまま入れるのはとても良いですね。

関係者からいただいた情報によると、モックルステーションの推しポイントは次の通りです。

訪問時はモックルステーションがオープン直後とあって、先着20名様に福袋が販売されていました。

福袋といえば正月の初売りの印象がありますが、新規オープンしたこのタイミングで出すのは当然ですね。ちなみに画像の福袋が置いている場所は、福袋が売り切れた後に休憩用のベンチになるそうです。

またオープン記念として、河内長野観光案内所のinstagramをフォローすると、ガチャガチャが1回無料というのも行っていました。

さて、新しい河内長野のロゴが見えますが、その上です。烏帽子形城跡方向を矢印が指し示しています。

ほかにも寺ヶ池や天野山金剛寺など、河内長野の観光スポットの方角と距離を指し示していました。

ちょうどのこの日、モックルステーションを設計した1110建築設計事務所(外部リンク)の川口裕人代表がいらっしゃいましたので、少しお話を伺いました。川口代表の経歴を見ると、京都工芸繊維大学大学院 建築設計学専攻修了後、株式会社竹中工務店大阪本店設計部を経て独立開業した一級建築士の方。事務所は大阪市西区の南堀江とおしゃれな場所にあり、複数の大学の非常勤講師も務めておられます。そんな川口代表は河内長野とは意外な縁があったのです。

実は、川口代表は独立した直後に河内長野市内に3、4年住んでいたというのです。そのことが結果的にモックルステーションの設計に大いに役立ちました。かつて河内長野駅を利用していた川口代表は「この場所は改札からの動線で通り過ぎる恐れがあります」と、立地のデメリットを見抜きました。

(注:赤いベルトパーティションは正式オープンの時間前ため設置)

そこで最も重視したのが入りやすさだったのです。自動ドアなどもないのはそういう理由だったんですね。川口代表は棚のレイアウトを考えてうまく奥に引き込まれるように工夫したそうです。

(中から外を見ても開放的で、バス乗り場へのエスカレーターとも近いのがわかる)

実はこの取材の後で、同じ日の夕方に大阪狭山市方面に行く用事があったので河内長野駅から切符を購入したのですが、その際に横を見ると、年配のひとりの男性がモックルステーションに吸い込まれて行くのを目撃しました。


(設計のイメージ)

もうひとつのポイントは、観光案内所ではありますが、観光客だけでなく地域の人にも気軽に利用してもらえるようにと心がけたとのこと。そのため入口を広めに対角線上に入れるようにして、一筆書きをするかのように訪問した人が回遊できる動線にしたそうです。

そして販売エリアとそうではないスペースを分けることを意識することで、中に入っても押し売りがされるような気がしない空気感を出すように工夫したそうです。

そして販売ではないエリアにベンチを置き、待ち合わせスペースを意識したうえで、目の前に観光のパンフレットを置くことで、待っている間にパンフレットを気軽に手にできるように心がけたそうです。

もうひとつ、川口代表がこだわったのは、材料と人を河内長野に絞ったことです。まず使用した木材はおおさか河内材100%(ウッドベースかわちながののヒノキ)にしました。その際の注意点として、部材の大きさをすべて同じサイズにしたそうです。

(ウッドベースかわちながの)

そして長野中学校の体験学習ということで、生徒たちが材料の節穴を埋める作業をしました。それに加え、地元の子どもたちが参加してワークショップ形式で一緒に什器を作り上げました。

(モックルステーションの左下が光っている部分があるのは、茶色い部分が簾だからです)

さらに看板には天野山金剛寺のすぐそばにある、井上スダレさんの簾(すだれ)を使っていて、光る文字が見えるようにしたそうです。さらに余った板(端材)を使って、河内長野を代表する観光地の方角を指し示す案内看板にしたとのこと。

そして川口代表は「ひとつひとつにストーリーを持たせて、愛着を醸造しながら継承し続けることが大事だ」と言います。これは手間暇をかけることで、そのものに「愛着」を生むからです。そして手間暇かけて制作に携わった思い出を、どんどん継承してほしいと言います。

「木材の良さは手垢が残ること」とも言い、「これからたくさんのの人に来てもらい木材を触ってくれることで、どんどん変化していく。それを楽しめる場になって欲しい」との思いを川口代表は熱く語りました。

モックルステーションは、これまで以上に河内長野のお土産をそろえたのが、大きな特徴です。

定番の薬膳精進カレー、楠公めし、クマオカキ、豆の蔵元、天野酒をはじめ、河内長野産の新玉ねぎドレッシングや、河内長野産みかんドロップス、むささびボーロなど、人気のお土産品がそろい踏みです。


(河内長野地場産業のつまようじ)

以前、河内長野土産が気軽に買える場所として昔の観光案内所を取り上げたことがありますが、モックルステーションはそれ以上にパワーアップしています。

これなら前日にわざわざ買いに行かなくとも当日電車に乗る直前に立ち寄って、河内長野土産を握りしめて旅立ち、遠方の人に手渡すお土産どころとしても役立ちそうです。

その他にも珍しいものがあります。

こちらは、うららのさをり織りです。今までお土産品としては販売している印象のなかったものも新しくお土産アイテムに加わりました。

そして、こちらはふるさと歴史学習館で体験できるものの紹介です。

そしてこちらは「ワークワクワク河内長野」ブースです。河内長野市内にある企業の紹介ですね。先月万博会場でもワークショップをされていて、それを取材させていただきました。

あの2日間の間に、ワークショップに参加し企業の作品などを見た人が河内長野に来てモックルステーションに立ち寄った際に「万博で見たものだ!懐かしい」と感じるかもしれませんね。

そして私個人的に「これは素晴らしい!」思ったのがこちらです。これは河内長野の歴史をわかりやすく解説した冊子で、500円前後で販売しているものです。イラストや地図も多く、けっこうわかりやすく歴史のことが書いてあるので重宝するものです。

私もいくつか持っています。これまで小冊子を手に入れようと思うと、ふるさと歴史学習館や滝畑ふるさと文化財の森センターなどまでわざわざ行く必要があって、そこで購入していたのです。しかし、河内長野駅構内で販売しているとなれば、とても便利になりました。

もしかしたら私が無知なだけで、今までの観光案内所でも販売していたのかもしれません。だとしても今回のモックルステーションの良さは、ドアもなくサクッと中に入れて、見やすい所に置いてあるという点が大きなメリットです。これは観光客も市内に在住している人で歴史に触れたい人にとっても手に入れやすく、素敵な試みだと思いました。

モックルステーションは、2名体制のスタッフで運営するとのことです。気軽に立ち寄りやすくなっているのも大きな特徴ですね。

モックルステーション(河内長野観光案内所)

住所:大阪府河内長野市本町29-9

TEL:0721-55-0100

営業時間:9:00〜17:00

定休日:年末年始
アクセス:南海・近鉄河内長野駅直結

1階のモックルテラスはどうなった?

ここで7月まで観光案内所として機能していた下のモックルテラスの方を見てみましょう。

 

随分とスッキリしました。7月まで置いてあったお土産品などの販売は全てモックルステーションで行われるため、モックルテラスはスッキリしたのです。

では、8月からのモックルテラスの役目が気になりますが、次の推しポイントがあります。

という事で、特に今のような暑い時にはバスの待ち合わせ場所にも使えそうですね。

そして、レンタルサイクルが置いてあります。

こちらは日本遺産のパネル展示です。

というわけで,モツクルテラスも新しい役割を担います。さて観光案内所と聞けば住んでいる者は関係ないと感じるかも知れませんが、お土産品や歴史の小冊子の購入もできます。またデジタルスタンプラリーなどで景品を貰う拠点なのでどんどん利用したいですね。


(モックルステーション設計のチームメンバー)

モックルテラス(河内長野観光案内所)

住所:大阪府河内長野市本町29-16 南海河内長野駅ビル1階

TEL:0721-55-0100

営業時間:9:00〜17:00

定休日:年末年始
アクセス:南海・近鉄河内長野駅徒歩1分