【河内長野市】貴重な文化財の数々。まもなく年に1度、8月8日実施の御開帳!岩瀬薬師寺の仏像公開です
河内長野市には国宝や重要文化財が豊富にありますね。4月に行われる観心寺の如意輪観音、あるいは春秋の年に2回行われている天野山金剛寺の国宝特別公開金堂三尊など、普段はお目にかかれないけれど特別公開される仏像もあります。そして南海千早口駅の近くにある岩瀬薬師寺にも秘仏があり、年に1度、8月8日しか御開帳されません。
私は昨年初めて仏像を拝見しました。その時は仏像の公開だけで特に儀式的なことは行われていませんでしたが、昨年は16時から18時まで薬師寺奉りが開催されました。
当日、岩瀬薬師寺に向かいました。
見上げると人の声がします。一昨年は静かな岩瀬薬師寺の境内でしたが、昨年はうってかわって、地域の人を中心に遠方からも来られている人の姿を見ました。
以前調べた下岩瀬薬師寺保存会の資料によると、薬師寺はもともとは薬師堂という名前だったそうです。薬師寺のある岩瀬地域はかつて観心寺領でした。1535(天文4)年に観心寺の薬師堂の再建が行われたという記録が残っています。ところが当時の観心寺の境内には、薬師堂が無かったそうなので、それは境内の外にある観心寺領内にあったのではと考えられており、この岩瀬薬師寺がそうではないかと推測されてるそうです。
さらに記録によると、江戸時代の寺請制度(てらうけせいど:寺請証文を受けることを民衆に義務付けて、キリシタンではないことを寺院に証明させる制度)で、薬師堂から今の名前、薬師寺という名前になったそうです。その後1981(昭和56)年に本堂の改修が行われたとのこと。
ちょうど住職の読経が始まるタイミングで到着しました。この日だけ公開されている仏像の前にみんな座っています。読経は薬師堂の外から拝聴いたしました。ちなみにお奉りしていて1日だけ公開される仏像は次の通りで、十二神将以外は河内長野市の指定文化財(外部リンク)です。
読経が終わったところで、秘仏に近づきます。
中央に見えるのが薬師如来像(木造)で岩瀬薬師寺の本尊になります。左手に薬壺らしきものを持っており、平安時代中期の作とされます。像高102.0cm、光背高150.0cm、台座高50.0cmあるとのこと。そしてちょうど扉に隠れて見えない位置に薬師如来像の左右にいる脇侍(きょうじ:本尊の両脇に安置するもの)がいます。毘沙門天像(木造)と不動明王像(木造)です。
右側に見えるのが大日如来像(木造)です。平安時代後期の作で像高91.0cm、光背高147.0cm、台座高65.7cmあります。
左側に立っている像が不動明王像(木造)です。平安時代末期から鎌倉時代初期の作品で、像高95.2cm、光背高130.0cm、台座高50.0cmあるそうです。
左側に見えるのが毘沙門天像(木造)で、平安時代末期から鎌倉時代色の作で、こちらも河内長野市指定文化財です。像高97.0cm、光背高130.0cm、台座高45.0cmあります。その横に見えるのが釈迦如来像(木造)です。平安時代中期の作とのこと。像の高さは102.0cm、光背高146.0cm、台座の高さは48.0cmです。
こちらが十二神将です。天井付近にある小さな12ある像なので見逃さないようにしましょう。
十二神将とはは薬師如来の守護神であり、仏敵をおどし、人々の悪い心に対して激しく怒っている表情をしています。薬師如来の分身でもあるそうです。
それぞれの仏像の前には花が活けられ、手前にはお供え物がありました。
様々なお供え物があります。いちばん右側にはビールもありますね。
コロナ禍の関係で少し寂しかった一昨年と違い、昨年は地域の人が集まった素敵な御開帳となりました。
今年の御開帳については現時点では明確な情報が入ってきていませんが、昨年と同じように行われる可能性があります。
いずれにせよ8月8日に年に一度の貴重な文化財の御開帳のタイミングです。まだまだ暑い日が続き大変ですが、興味ありましたら訪問してみてはいかがでしょう。
住所:大阪府河内長野市岩瀬621
アクセス:南海千早口駅から徒歩10分