グリーンカレー物語          戻る

その4「更なる進化のために、
         現地のトップシェフに学ぶ」
前回の内容は2008年の話・・・・。

あれから7年。グリーンカレーが名物料理として、認知されるようになってから
店を取り巻く環境は大きく変わり、2010年春から5年間ほど
ランチバイキングを行いました。
このランチバイキングと平行してグリーンカレーを出していましたが、
常に新しい味を追求するシェフおぐしにとっては、更なる課題が頭に浮かびました。

「真に美味しいグリーンカレーを提供し続けるには、
 作り置きでは無く、注文をいただいたときに
始めてペーストから作る必要がある」
と。

その域に到達したものの、そうなるとランチタイムとの問題が発生します。
ランチタイムは時間勝負ですから、悠長にペーストから作るわけには行きません。
そのため自然にランチライムからグリーンカレーがメニューに消滅
夜だけの提供となりましたが、夜営業でもペーストから起こすとなると
2・30分かかってしまい、オーダーを受けても他の料理の関係もあり
大きな問題が発生しました。
妥協が許されないシェフにとって、グリーンカレーが予約以外提供できないという事態が
発生。
名物料理と謳いながら事実上提供不可
という大きな矛盾が発生してしまったのです。

このような状況を打開するために模索したおぐしは
2015年の9月にタイのバンコクに旅たちます。
実は改善の兆しのようなものを事前につかみました。
タイ・バンコクのトップシェフに習おうと、そのシェフの出す料理を
現地で数回味わっているおぐしにとってその人に習えば答えが出ると踏んだのです




ムクラ氏と
タイのトップシェフ「ビチット・ムクラ氏」に
グリーンカレーの指導を受けました。

オートコー市場
バンコクの高級食材市場「オートコー」で
市場の買い付けから同行します。
その人の名は「ビチット・ムクラ氏」
バンコクにある高級ホテル「マンダリンオリエンタル」の
元総料理長で、自らのテレビ番組を数本持ち
ホテルでは、一組様限定の「シェフズテーブル」
で腕を振るっていた人。

現在は独立して、昼間の料理教室と
夜の1日一組様限定「シェフズテーブル」を運営
しているのです。

おぐし自身彼のシェフズテーブルで何度か
味わったことがあるからこそ、今回の答えを
得るためにムクラ氏に料理を学ぶことになったのです。

当日の朝、バンコクの高級食材を扱っているという
オートコー市場でムクラ氏と待ち合わせて仕入れに立ち会います。
これまで東南アジアのいろんな市場に足を運びましたが、このオートコー市場の食材は確かに違うように
感じました。

市場での買い付けの後は、ムクラ氏による料理教室でのレッスンです。グリーンカレー以外に合計4品習いました。
とはいえ、注目したのはグリーンカレーの作るスピードに注目。意外な道具を駆使して10分程度で作ります。

帰国後、早速試したところそれまで20分以上
かかっていたグリーンカレー作成が10分程度で
出来ることがわかり、こうしてご予約なしでも
注文を受けることが出来るようになりました

ランチ用にある程度作り置きした
以前の量産型のバージョンとその場で作る
スペシャルバージョンの
2種類のグリーンカレーとして、提供が可能に
なりました。




ムクラ氏の作り方を学びました。
アワード
その効果がいきなり現れたのは2015年の暮れ。
全国のカレー愛好家が
選んだカレーアワードに当店の「グリーンカレー」
が選ばれてしまったのです。

これは、この年のカレーの店上位10店の中に
選ばれたという事で、10年越しにようやく名物料理が完成したと言える証でしょう。

別にタイカレーだけでなくインドとか日本の創作カレーと、
しかし、これが意外な方向に行くことになります。シェフおぐしはどうしても量産型バージョンでは、香りが飛ぶという事で納得できなかったので、取りやめることになりました。
そして、スペシャルバージョンの方ですが、
どうしてもグリーンカレーの名店と言う事で
多くのカレー愛好家が現れました。
「スペシャルバージョンはペーストから作る」ので
時間がかかる旨を伝えて、納得できる方に提供していました。
メダル
カレーアワードのメダル(店内に飾っています)
ところが、噂が独り歩きしたのか、巷で流行っているスパイスカレーのような扱いで来る
カレーマニアの来店に強い違和感を覚えました。
その為2017年10月からコース料理としての提供のみと言う事にしました。

結局、名物料理とはいえ前面には出せないものとなってしまいましたが、
逆にコース料理をご注文いただければ、至高の状態で究極のグリーンカレーを出すことができます。
全国から来られる食通のお客様が、コース料理と一緒にグリーンカレーを注文されるのですが

口々に「こんなグリーンカレーを食べたことがない」と高い評価を受けております。

(完)